M&Aについて

皆さん、こんにちは。

経営者の高齢化に伴う事業承継問題が、大きな問題となっています。
日本全国180万社の中小企業の内、6割以上は後継者が決まっておらず、経営者が高齢化した結果として、廃業する会社が増えているというものです。
赤字ならその選択もやむを得ないでしょうが、黒字の会社も多いというのですから、雇用も含め、日本経済に与える影響は深刻です。
その対策の一つとして、外部への会社売却、いわゆるM&Aが期待されているのは、皆さんもご存知でしょう。

私はこれまで、様々な業種の会社を渡り歩いて来ましたが、職種はほぼ一貫して、社長室や経営企画部と言われる、経営トップのサポート部門でした。
これらの部門では、会社の本業であるラインを離れ、社長特命案件への対応が主要な業務内容となります。
その最たるものが、M&Aです。
私は、ある上場会社で社長室担当役員をしていた際には自社でのM&Aを、M&Aアドバイザリー会社で営業担当役員をしていた際にはクライアントへのM&Aコンサルティング業務を担当していましたので、成約にまで至らなかったものを含めると、相当数のM&A案件を見てきました。

M&Aというと、何か問題を抱えた会社がやむを得ず身売りする、という印象を持たれる方がまだまだ多いと思います。
それは、一面では確かにその通りです。
経営者あるいはオーナーが、自分自身で何とかできるのであれば、ご自身で解決を図りたいというケースがほとんどでしょう。

しかし最近では、特にスタートアップ企業において、会社売却を前提に経営している経営者が増えてきたように思います。
ある段階まで事業を進展させた時点で会社を売却し、その資金を元手にまた次の事業を立ち上げていく、いわゆるシリアルアントレプレナー(連続起業家)の方々などです。
彼らの行動は、これまでの日本的な感覚ではあまりにもドライな感じを受けるかもしれませんが、私は非常に賢いやり方だと思います。

人には得意・不得意、向き・不向きがありますし、会社にはその成長ステージに見合った経営が求められます。
0から1を創り上げることが得意な起業家と、1のものを10や100、あるいは1,000にするような事業家・経営者とでは、それぞれ役割や求められるものが違うのです。
人は、得意なことに注力する方が、その能力を発揮できますし、その強みを存分に活かすことができます。また、生き生きと活動できるのも、自分が好きなことに熱中して取り組んでいるときです。
彼らは、自分がやりたいこと・得意なこと・好きなことに注力し、自分ができることと誰かに任せるべきこととを、冷静に線引きしているのでしょう。
そして、会社が成長し、自分が経営するよりも、適切な誰かに引き継ぐべき段階に到ったと判断すれば、速やかに次に引き継ぐ・・・。

ドライなようでも、会社がさらに発展できるのであれば、こうした意思決定は大いに「あり」ではないでしょうか。
それは、スタートアップに限らず、長年継続してきた企業であっても同じことだと思います。

ではまた。

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